斜視治療エス

"斜視"を治すために、わたしたちが、できること。

Dr.Frederick.W.Brockの知恵と業績(1-4)

フレデリックブロックは講義ノートを「生物の法則」として体系付けられた基本原則のリストで書き始め、ときおり人のことを一般的に「生物」として言及した。

これらの用語は現代に生きる私達の耳には奇妙に聞こえるかもしれないが、ブロックによる、カートゴールドスタイン(*1)という神経学者の著作研究から生まれたものである。

ゴールドスタインのように、ブロックは患者にホリスティック(全人的)なケアをし、患者に現れている症状は彼/彼女自身の状況への対処方法として見れば、しばしば理解できる、と教えていた。

ブロックが彼の講義ノートの12ページと13ページで述べているように、「斜視」は融像能力が弱いことへの適応であると同時に、原因でもあるのかもしれないのである。空間位置を正確に知るために人は左右の目それぞれの黄斑(*2)から類似した融像可能なimage(*3)を受け取らなければならない。類似していないし、融像できないimageを受け取ったら、複視や視覚混乱につながる。これらの症状になったら、片目の黄斑に映るimageを抑制することが必要となる。

もしも融像を得ることが出来なければ、2つの眼の整合性がとれなくなるような努力が決定される。つまり、眼を回転させて、周辺位置を変えることで、黄斑部でないところに物体のimageの焦点を結ばせ、ぼやけさせて、容易に抑制できるようにしようとするのである。

(続く)


(*1)Kurt Goldsteinは"The Organism"という古典の著者。ホリスティックな立場から生物を見ていたそうです。19世紀後半~20世紀前半に生きた人です。

(*2)黄斑というと難しいことに聞こえるかもしれませんが、視力が特に鮮明に見えるところが黄斑部と名付けられているそうです。

(*3)imageは普通像と訳されます。でも像っていうと、仏像の像や、実像やら象やらがこんがらがって、イメージとしての象と区別しにくいです。なので、ここではimageとそのまま書いておきましたが、これ以降イメージと記載することにします。