斜視治療エス

"斜視"を治すために、わたしたちが、できること。

Dr.Frederick.W.Brockの知恵と業績(2-3)

両眼視をするためには、両眼感覚野が存在すること、そして中心窩(*1)間の協調が必要になる。ブロックは断固として次のように主張した。

「両目が協調しているときの網膜の領域は、2つの中心窩と、そしてそれぞれの中心窩の同じ側から等距離にある領域とからなる」と。 (*2)

その他の領域が両目が協調する領域として受け入れられることはないのだ。

複視を持つ人は、両眼が協調する領域から受け取る画像を、融像させない。したがって、両眼感覚野を得ることがない。代わりに2つの独立した感覚野が存在するのである。

つまり、それぞれの目に一つずつ感覚野が存在し、その結果生じる複眼野で右目と左目の知覚を統合し、そこから生じる結果を知覚する。

対照的に、両眼感覚野での知覚は右目だけのものでもないし、左目だけのものでもないのだ。

それは、質的にどちらとも、異なっているのである。

これは非常に大切な洞察(*3)なのだが、多くの視覚科学者に見逃されてきたことであるし、私を全くの驚きへと導いていったものでもある。

私が初めて自分の目を融像圏(*4)に向けることが出来た時、その結果生じた知覚は、物体の間にある明白な小さい空間(*5)についての感覚であり、全くもって目新しいものであった。

私に新しいクオリア(主観的な感覚)がもたらされたのだ。

 


 (*1)中心窩 := 視力が特に鮮明に映る黄斑部の中でも中心のところ。

(*2)文の意味を一応訳してみたのですが、きちんとまとまっていませんね。。目を協調して使うために使える領域が決まっていて、それは中心窩から一定の範囲内にあるところだけだ、という意味です。今の段階ではうまく言葉にできません。

(*3)これ := 普通の人が普通にしている両眼視(=立体視)は斜視の人から驚異的なものです。片目だけで見ている景色でも、片目で見たものを2つ見ているだけとも全く違っています。立体視は 1+1が2にならないという好例だとも言えるのではないでしょうか。

(*4)融像圏 := 人の目が両方の目を融像、つまり同じ空間に像を融合させることができる領域は決まっていて、これを融像圏と呼んでいます。

(*5)物体の間にある明白な小さい空間 := 斜視の人は立体視することができないので、物体物体の間にある"なにもない"空間を認識することができません。この"間"の空間を初めて見たときの感動がここでは述べられています。